ご予約は、電話にて診療時間内にお願い致します。
〒656-0121 兵庫県南あわじ市山添280-2 Tel 0799-45-1131
その他の・お問い合わせ

トピックスTopics


★2019.11.14
■体外受精の採卵回数17年ぶり減 団塊ジュニア治療終え
 体外受精や顕微授精などのための採卵回数が2017年の一年間で約24万5千回で、17年ぶりに前年度より約2.5%(約6千回)減少した。団塊ジュニア世代が40代半ばにさしかかり、治療を終え始めた影響とみられる。年間の採卵回数は20年近く伸び続けてきた。日産婦によると、2017年は前年より約6千回減って約24万5千回だった。生まれたのは56,617人で、同年に出生した16.7人に1人を占め、過去最多を更新した。
 採卵回数が減った背景には、高齢化がある。女性は30歳を過ぎると自然に妊娠する確率が下がりはじめ、40代になると不妊治療しても妊娠が難しくなる。。日本IVF学会は、『これまで団塊ジュニア世代が体外受精の件数を押し上げていたが、治療を終え始めてきたことが大きい。対象者は今後さらに減るだろう』と話す。埼玉医科大学石原教授は、『治療費用の公的助成が2016年度より43歳未満になった影響も指摘する。妊娠することが難しい高年齢の人たちが、制度の変更で治療を終えた可能性がある』という。
 一方、体外受精で妊娠した人の流産率が、前年より0.7ポイント低下。赤ちゃんが生まれる確率が、0.6ポイント高まった。一因の一つとして、相対的に患者の年齢が下がり、治療成績の向上につながっている可能性がある。これまでは、40代後半になって初めて来院する患者もいたが、最近はネット上などの知識を得て、若いうちに治療を開始する夫婦が増えていると言う。
★2018.10.22  
慶応病院、精子ドナー確保できず 出自公表への懸念背景

 夫の精子で妊娠できなかった夫婦が、やむを得ず他人の精子を使う人工授精(AID)を、国内で最も多く行っている慶応大学病院で、事業の継続が危ぶまれている。新たなドナー(提供者)が確保できないためで、背景に匿名のドナーの情報が将来、「出自を知る権利」を理由に公表される可能性への懸念があるとみられる。同病院は今夏、提供を希望する夫婦の新規受け入れを中止。近く、事業の存続などについて協議する。
・「精子がない」泣きながら妻に謝った 離婚、そして再婚
 AIDは夫が無精子症などで妊娠に至らず、他の選択肢がない夫婦が対象。1948年、同病院が日本で最初に始めた。ドナーは性感染症などを調べたうえで精子を提供する。妊娠率は5%程度。日本産科婦人科学会によると、全国の登録施設は12カ所(2018年7月現在)。2016年はAIDが計3814件行われ、慶応大病院が半数の1952件を占める。
 同病院はドナーのプライバシー保護などを理由に、提供を受ける夫婦や生まれた子どもにドナーの情報を公表していない。 ただ、海外で出自を知る権利が認められてきた状況をふまえ、2017年6月、ドナーの同意書の内容を変えた。匿名性を守る考えは変わらないが、生まれた子が情報開示を求める訴えを起こし、裁判所から開示を命じられると公表の可能性がある旨を明記。日本はAIDで生まれた子の父親が、育てた男性かドナーのどちらなのかを明確に決めた法律がないため、扶養義務など法的トラブルが起こりうることを丁寧に説明した。すると、2017年11月以降、新たにドナーを確保できなくなり、2018年8月、提供を希望する夫婦の新規受け入れを中止した。同病院は同じドナーの精子で生まれる子が10人に達した時点で、そのドナーの精子は使わないようにしている。このままだと事業を続けられなくなる。
 感染症検査などをせず、ネットを通じて個人で精子提供する動きもある。同病院でAIDができなくなれば、こうした精子提供に頼る人が増える恐れもある。同病院はドナーの集め方は非公表だが公募はしていない。公募にすれば、ドナーの性感染症の検査や個人情報の管理に大規模な運営体制が必要になるという。慶応大の田中守教授(産科)は「いち私立大学の財政力では限界がある。善意のドナーをトラブルに巻き込まないために親子関係の法整備を進めてほしい」と訴える。
  出生を知る権利とドナー確保 どう両立
 ここ数年、国内で年3500件前後のAIDが行われ、年約100人が生まれている。国の専門家会議は2003年、法整備に加えて、公的機関でドナーの個人情報の保存や開示請求の相談に応じるよう求めたが、実現していない。法務省は今月立ち上げた研究会で、提供精子で生まれた子どもの親子関係に関する法整備も、議論の対象とした。一方、日本産科婦人科学会は見解で、ドナーのプライバシー保護のため相手夫婦や生まれた子どもにはドナーの個人情報を公表しないとしてきた。 この見解に基づき、AIDを年約300件行っているセントマザー産婦人科医院の田中温(あつし)院長は「出自を知る権利は認めた方がいいが、ドナーが特定されるようになればドナーは確実に減る。両立は非常に難しい」と話す。法律で親子関係を決めても、ドナーと生まれた子が知り合い、親子の愛情がめばえて同居を望むといった事態は起こり得るとみる。同医院では、不妊治療を受けて妊娠した夫婦の夫に、精子の提供を依頼。約半数が協力してくれるという。AIDに詳しい吉村泰典・慶応大名誉教授は、開示請求を受けて機械的に公表すれば親子とドナーとの間でトラブルが起きかねないと考える。「両親や生まれた子の公的なカウンセリング体制を構築することが大事だ」と語る。(福地慶太郎)

★2018.9.15
■高度不妊治療2016年集計
 体外受精などの高度不妊治療の結果について、2016年の集計結果が日本産科婦人科学会より報告された。報告によると2016年に行われた高度不妊治療(体外受精顕微授精など)の治療総周期数は、約44万8千周期と前年度より約2万4千周期増加した。そのうち、新鮮胚を用いた治療の採卵回数は約25万6千周期と前年より約7千周期増加、凍結受精卵(未受精卵も含む)を用いた治療数は約19万2千周期と昨年より約1万7千周期増加した。生まれた赤ちゃんは54,110人に達し、2016年に生まれたすべての赤ちゃんの約18.1人に1人が高度不妊治療により誕生していた。なお、この割合は、2008年で50人に対して1人、2010年で37人に対して1人、2013年で24人に対して1人、2015年で19.6人に対して1人と年々増加している。国内で高度不妊治療を行っている施設数は、604施設であり、妊娠報告は体外受精(実施施設数550)で383施設(69.6%)、分娩に至った施設は346施設(62.9%)であった。同様に顕微授精(実施施設数509)の妊娠報告は347施設(68.2%)、分娩に至った施設は318施設(62.5%)、凍結融解胚移植(実施施設数568)の妊娠報告は523施設(92.1%)、分娩に至った施設は504施設(88.7%)であった。ここ数年の実施施設および報告成績数は一定しているものの、5施設のうち1施設以上は妊娠報告すらない現状に、治療施設の選択には慎重になって頂きたいと感じる。

★2018.4.23
■出生率高いイスラエル、背景は? 体外受精費、国が補助
 テルアビブ=渡辺丘
 イスラエルの女性は平均で3人の子どもを産む。先進国では突出して高い出生率の一因が、世界に類をみない出産奨励策だ。背景には家族を重視するユダヤ人の文化や宗教に加え、悲劇の歴史や政治が絡んでいる。
 ・体外受精 国の保険で全額補助
 地中海に面したイスラエル中部ヘルツェリアの病院は、待合室に生殖補助医療を受ける女性が列をつくっていた。最新の医療機器が並んだ室内で体外受精の作業が行われ、専用のタンクでは受精卵の凍結保存もしている。イスラエルでは1995年の国民医療保険法制定以来、①女性が45歳までで、②現在のパートナーとの間に2人の子どもを得るまでの間、体外受精の費用が国の保険で全額賄われている。人口880万人に対して体外受精は年間4万件超。100万人あたりの件数は世界一だ。年間に生まれる子どもの5%近くを占めている。生殖補助医療は半ば国策だ。保健省のミラ・ヒブナーハレル前法律顧問は言う。「第2次大戦中のホロコースト(ユダヤ人大虐殺)で600万人が犠牲になり、その後の戦争でも多くの命が失われた。ユダヤ人の国家において家族を持つことは最も重要な価値になり、生殖補助医療の超大国になった」。自身の両親もホロコースト生存者だ。「ユダヤ人国家」を掲げる同国は人口比で約75%を占めるユダヤ人の割合を維持し、さらに増やそうとしているとも指摘される。ユダヤ教の宗教指導者も生殖補助医療を支持する。社会的支援も手厚い。有給の出産・育児休暇が15週間認められ、不妊治療中の女性にも年間最大80日の有給休暇が認められる。女性1人が一生に産む子どもの数である合計特殊出生率は、経済協力開発機構(OECD)加盟国でトップの座にある。
 ・増える代理出産、シングルマザー・同姓カップルも
  日本では原則として実施されない代理出産もイスラエルでは認められている。1996年、婚姻関係の有無を問わずイスラエル国籍を持つ男女のカップルに対し、国内での代理出産が合法化された。保健省によると、昨年までの20年間で824人が生まれた。代理母と交わす契約書を同省の専門委員会が審査、承認し、代理母が出産した後、両親が裁判所で手続きをすれば実子と認められる。体外受精で長女(22)を出産したメラブ・レビィさん(52)は、第2子のため10回以上の体外受精を試みたが懐妊に至らなかった。医師に「これ以上は危険」と止められ、次女(15)を代理出産でもうけた。レビィさんは代理母探しや手続きに苦労した経験から、2002年に代理出産の仲介会社をつくった。利用者は増え、これまでに400人以上の子どもが生まれた。オリット・ヒラリさん(38)は12年前、レビィさんから紹介された夫婦のため代理母になった。「はじめは経済的な動機だったが、長年の不妊治療でも子を授からなかった夫婦に依頼され、力になりたいと思った」と振り返る。国外での代理出産で生まれる子どももいる。主に東欧ジョージアの代理母との仲介をする業者は昨年、200件を請け負った。国内で代理出産が認められないシングルマザーらも利用でき、手続きの時間が短いという。ゲイカップルのガイ・タッツァさん(48)とルシ・ラオールさん(43)は、代理出産で生まれた10歳の娘と5歳の双子の息子がいる。タッツァさんはゲイの人らを対象に代理出産の会社を起こした。「子を持つことを推奨される社会で、私たちゲイも子を持つことは自然であるべきだ」体外受精よりはるかに高額な代理出産は、公的支援がない。それでも富裕層だけでなく、「家や車を売り、親に借金してでも依頼する客が少なくない」(レビィさん)という。生殖補助医療を国民の多くが支持しているが、そんな社会で生きづらさを感じる人もいる。
 ・「リスクの説明不十分」指摘する声も
 50歳代の独身女性は39歳のとき、精子バンクで提供を受けて妊娠を試みた。「家族や子どもがいない女性は奇異な目でみられ、大きなプレッシャーだった」。だが、「父親が誰かも分からない子どもがかわいそう」と考え直し、その後出産を断念した。「私のおなかは私のもの。国のものではない」と今は思うが、わだかまりが消えない。生殖補助医療を研究するハイファ大学のダフナ・カルメリ教授は国の政策について「体外受精は国が全額支援するが、養子縁組は支援の対象外。遺伝的なつながりを重視する伝統的な家族観が根強い」とみる。体外受精の公的補助を受けられる上限年齢が45歳と高いため、40歳以上の女性が失敗を繰り返す事例が少なくない。このため体外受精の実施件数に対して子どもが生まれる確率は約2割にとどまる。 カルメリ教授は「技術が先行し、リスクの説明が不十分。健康への悪影響が真剣に研究されているとは言えない」と指摘。女性が生殖補助医療を利用するかどうかを主体的に選ぶための環境づくりに課題があると警鐘を鳴らす。

★2018.4.18
■AI、精子見つけます 培養士の負担軽減・見落とし防止
 男性の不妊治療で、人工知能(AI)を使って精子を見つける支援システムを開発したと、横浜市立大と横浜国立大のチームが、京都市で19日から始まる日本泌尿器科学会で発表する。体外受精が増えるなか、培養士の負担を軽減し、精子の見落とし防止につながる可能性があるという。不妊の原因の半数は男性が関係するとされている。このうち、精液中に精子がない「無精子症」の場合、医師が精巣にメスを入れ、取り出した組織のなかから、培養士が精子を探し出す必要がある。精子が見つかりにくい場合は、2~3人がかりで数時間、探し続けることもあるという。横浜市立大付属市民総合医療センターを受診した患者の同意を得て、精巣組織に含まれる精子や白血球などが混在する顕微鏡映像を利用。培養士が精子約8千個、白血球など約2万5千個に分類した後、機械学習などが専門の横浜国立大の濱上知樹教授と大学院生の佐々木勇人さんらがAIに学習させた。その結果、AIが精子とそれ以外の細胞を見分け、精子の可能性のある場所を囲んで知らせるシステムの開発に成功した。精子の見落としを極力避けるため、精子と形が似た細胞もある程度、検出するように設計。精度を上げると、ほかの細胞が混じる割合も高くなるため、たとえば「精子を99%見落とさない」と設定すると、AIが示したうち、約半分はほかの細胞も入り込むという。この情報をもとに、培養士が治療に使う精子を決定する。同センターの湯村寧・生殖医療センター部長(泌尿器科)は「このシステムが医療現場で使えるようになれば、時間がかかる培養士の作業の手助けとなる」と話す。

★2018.2.14
■新型出生前診断、拡大を検討 研究から診療扱いに
 妊婦の血液から胎児の染色体異常を調べる新型出生前診断について、日産婦は、厳しい倫理審査などが必要な臨床研究を終了し、手続きなどが簡単な一般診療として認める方針を固めた。希望しても検査を受けられない妊婦がいることから、大学病院や総合病院など全国89カ所の認可施設の拡大や実施要件を緩和できないか検討する。13日に開かれた日産婦の倫理委員会で、臨床研究終了の方針を確認。早ければ5月の理事会で正式に決める。新型出生前診断は、妊婦の血液中に含まれる胎児のDNAを分析し、出産前に染色体異常を調べる。国内では、遺伝カウンセリングの実施などを条件に2013年4月から臨床研究が始まった。実施が認められた医療機関は全国89カ所(17年10月時点)あり、昨年9月までに約5万1千人が検査を受けた。一方、無認可の医療機関が日産婦の指針に反して検査をあっせんし、カウンセリングを受けずに結果を知らされた妊婦に混乱が広がるなど問題になっていた。採血だけで結果が分かり、胎児の中絶につながることから、(命の選別にあたる)との批判もある。認可施設でつくる団体は昨年11月、検査データが蓄積したことなどから、厳しい倫理審査などが必要な臨床研究を終了し、保険適用はされないが通常の一般診療に切り替えることを提案。日産婦は今後、施設の認可を担当する日本医学会と協議し、原則35歳以上を対象とする年齢制限や、対象疾患をダウン症など3種類に限る条件は当面維持した上で、新たな施設の認可要件などを詰める。日産婦の藤井知行理事長は「予約が取れなかったり、近くに認可施設がなかったりして検査を受けられない妊婦の不利益を解消したい」と話している。
※無認可施設の横行に苦慮 新型出生前診断
 日産婦が新型出生前診断を一般診療として認める方針を固めた背景には、十分なカウンセリングなどを提供せずに検査に踏み切る無認可施設の横行がある。認可施設による検査を増やして妊婦の要望に応えつつ、不要な中絶や混乱を避ける狙いもある。日本医学会や日産婦など5団体は2016年、東京や大阪の医療機関が、指針で定めた年齢制限などを守らずに検査を実施したなどとして中止を求める声明を出した。しかし、施設側は「法律で禁じられているわけではない」と要請を拒否。ダウン症など3種類に限られた対象疾患をほかの染色体異常にも広げた。認可施設でつくる団体(NIPTコンソーシアム)の集計(13年4月~17年9月)では、5万1139人が検査を受け、933人が陽性と判定された。次の確定検査に進んだ781人のうち700人の陽性が確定し、そのうち約9割の654人が中絶を選んだ。実施数は右肩上がりで増え続けてきたが、17年の途中から減少傾向に。関係者は「妊婦が無認可に流れている」と指摘する。
※広がる「新型」出生前診断 これまでと何が違う?
 出生前診断とは、胎児の染色体などを、生まれる前に調べる検査のことです。1990年代に普及した超音波検査は、妊婦のおなかに超音波装置を当て、胎児の首の後ろに見られるむくみの厚さから、ダウン症候群などの可能性を評価します。また、母体血清マーカー検査は、妊娠15週以降に妊婦の血液を採取し、血液中のたんぱく質などの濃度を測定して調べます。いずれも、実際に疾患がある場合に診断できる検出率は8割程度で、この検査だけで診断を確定することはできません。一方、羊水検査の検出率はほぼ100%で、確定診断に用いられます。超音波装置で胎児の位置を確認してから、腹部に長い注射針を刺して羊水の中に浮遊している胎児由来の細胞を採取して診断します。ただ、子宮に針を刺すため、約300人に1人の割合で流産が起こる恐れがありる。

★2017.12.27
■NHK weve newsより News up 受精卵 いったい誰が作るのか
 「子どもがほしい」そう願って不妊治療のクリニックの門をくぐった夫婦。医師を信頼し「頑張りましょう」の言葉に励まされて体外受精へのチャレンジを決めたとします。では、採取した妻の卵子と、夫の精子。それを受精させて育てるのは誰かご存じでしょうか?ほとんどの場合、医師ではありません。夫婦は大切な命の源を誰に託しているのか。皆さんの目となって、現場を見てきました。(ネットワーク報道部記者 牧本真由美)
【壁の向こう側にいる 胚培養士】
 夫婦の卵子と精子が運ばれるのは「培養室」。ここで受精の作業が行われます。ウイルス対策を施した清潔な空間で、患者は入ることができない“壁の向こう側”の世界です。私がその部屋に入った時、受精卵への影響を減らすため明かりも抑え気味でした。実はここにいるのは医師ではありません。「胚培養士」と呼ばれる人たち。多くの場合、医師が関わるのは治療方法を決めて採卵するまで。受精卵を作り育てるのは「胚培養士」の腕にかかっているのです。作業は精緻を極めます。卵子は0.1ミリ。精子はその半分です。極細のガラス管を使いながらこの小さな小さな細胞を扱います。培養室は、静かで息をのむほどの張り詰めた空気でした。
【技術が左右受精卵の未来】
 胚培養士の技術によって受精卵の育ち方に違いが出てくると言われています。卵子のどこに精子を注入させるのか、まずその場所選びが、受精卵が育つかどうかを左右します。また卵子をできるだけ傷つけないために、どのガラス管を使うのか、精子を卵子にどのくらいの角度やスピードで注入するかも重要です。そして機械で微細な振動を与えながら行う「ピエゾ」と呼ばれる顕微授精は刺激が少ないため、卵子が老化し膜が弱くなっていても有効です。しかしこれができる培養士はごくわずかと言われています。卵子と精子の行く末を握っている胚培養士、その技術に大きな差があるのです。
【患者は胚培養士を選べない】
胚培養士は農学部系の大学で動物の卵子や精子を扱っていた学生が、医療機関に就職してから訓練を受けてなるケースが多くなっています。「日本卵子学会」と「日本臨床エンブリオ学会」、2つの学会による認定試験がありますが、国家資格ではありません。取材で聞いた胚培養士の言葉があります。「人事交流でクリニックに来た胚培養士の技術がひどいため、卵子を触らせなかった」「やりながら学ぶしかないので、初めのころは失敗があった」患者は医師を選ぶことはできても、胚培養士を選ぶことはできません。胚培養士にとってはみずからが成長する過程での失敗だったとしても、夫婦にとっては、かけがえのない子どもになるかもしれない受精卵です。「受精卵を紛失した」「培養液を入れ忘れ受精卵が死んでしまった」そんなミスも聞いたことがあり、それを患者側に知らされていないケースも聞きました。壁の向こう側が、当事者から見えないことがまだ多いのです。
【なんちゃって胚培養士にならないで】
「クリニックによって胚培養士の技術や育て方に大きな差がある」。ベテランの胚培養士もその危機感を訴えています。学会などで技術指導を行っている神奈川県の山下湘南夢クリニックの中田久美子さん。胚培養士を目指す大学生などへの講演を聞きにいくと「技術を磨くための努力を怠る“なんちゃって胚培養士”になってはいけない」と語気を強めていました。そしてなぜ技術を磨くのか、その根本を説いていました。「1つ1つの受精卵の背景には、不妊に悩む夫婦がいる。そして私たちはその願いを託されている。夫婦から見えない作業だからこそ、その信頼を裏切ってはいけない。そのために技術は磨き続けなければならない」そして、卵子や精子を扱うプロとして責任を持たなければいけないと強調しました。「医師に対しても、“この方法が適してる”と提案していけるようになってほしい。そこまでやることが胚培養士としての役割です」
【倫理観がミスを防ぐ】
レベルの高い胚培養士を育てたり現場で働いている人のレベルアップを図ろうという動きもあります。
岡山大学では、4年前、「生殖補助医療技術教育研究センター」を立ち上げました。学生や現役の胚培養士を対象に、ウサギの卵子を使った技術訓練などを行っています。それに加えて力を入れているのは、生命倫理のプログラム。技術の先に、子どもを授かれずに悩み、先が見えない不妊治療に願いを託している夫婦の存在を意識してもらおうというのです。
講師を務める医師の中塚幹也さんの言葉が心に刺さりました。
「知識と技術を磨くことはもちろんだがそれだけではだめ。倫理感があることで誰かがミスをしたり、もし不正をしようとしたりしたときに他の誰かが止められるし改善も促せる。結果として不妊治療全体の質を高めることができる。
【壁の向こう側がわからない】
 この記事を書くきっかけは、医療関係者との話の中で「受精卵が育たなくても、患者のせいにできてしまう」という言葉を聞いたからです。確かにそうなのです。培養室の中で起きていることを患者は知ることができません。どんな胚培養士がいて、どんな経験を積んでいて実績はどうなのか。そうした情報が患者の手が届く形になっていないことが多いのです。胚培養士の訓練には全国共通のマニュアルはありませんし、技術力や倫理感をどう養うかは医療機関に委ねられています。独自に試験を設け、技術が育つまでは現場に出さないなど厳しい指導をしている医療機関もあります。思いやりにあふれ、胚培養士も医師も一丸となって働く施設もたくさんありました。その一方で、ただ個人の自助努力に任されているだけで学ぶ機会が無い施設も少なくないのです。 
【将来の生殖医療に向けて】
 いま不妊に悩んでいる夫婦は5.5組に1組と報告されています。培養室の壁の向こう側を患者が知ることができるシステムと、胚培養士の技術と倫理感を担保する仕組み作りが不可欠です。患者の夫婦は医療機関に「卵子」と「精子」を預けていますが、気持ちの中では「命」を預けています。これからの生殖医療がそうした患者の思いに応える医療であってほしい、壁の向こう側を見た1人としてそう思っています。

★2017.12.27
■〇〇新聞 連載・患者を生きる シリーズ妊娠出産より
 不妊治療・つらいけど諦めたくない 冨岡史穂2017.12.24
 20代で不妊治療を始めたイラストレーターの赤星ポテ子さん(37)。「すぐに妊娠できる」と信じて、初めての体外受精に挑戦しました。ところが、そこから直面する現実は、予想を超えて厳しいものでした。心身の苦痛、時間や費用の捻出、夫の思い……。「もう続けられない。でも妊娠を諦めたくない」。揺れ動いたポテ子さんの約10年間にわたる不妊治療生活の軌跡です。
【一人息子を寝かせた後の、夏の夜のことだった】�� 「不妊治療、もうやめようぜ」。東京都に住むイラストレーター赤星(あかほし)ポテ子さん=ペンネーム=(37)は昨年、夫(40)の突然の提案に衝撃を受けた。子どもを2人産んで4人家族を築くのが、幼い頃からの夢だった。夫も同じ思いで不妊治療をがんばっているものと信じていた。ところが、彼は「1人授かっただけで十分だ」という。「あと何回体外受精を繰り返したらいいのか。先が見えない」と嘆いた。2人が不妊治療を始めたきっかけは、10年前にさかのぼる。月経不順で婦人科クリニックに通っていた27歳のポテ子さんは、早期の子宮体がんと診断された。総合病院に移ってホルモン剤をのむ治療を始めると、数カ月後の検査でがん細胞は消えた。だが薬をやめると再発。しばらく薬をのむとまたがん細胞は消え、薬をやめるともう一度、再発した。セカンドオピニオンを求めて2009年に、神奈川県相模原市の相模野病院を受診。婦人科の上坊敏子さん(69)は、ポテ子さんが結婚したばかりと知り、2度目の診察で二つの選択肢を示した。子宮を取る手術を受けるか、すぐに不妊治療を始めるか。上坊さんはこう説明した。再発予防を最優先とすれば、子宮摘出だ。ポテ子さんのがんは転移のおそれも少ない。ただ子どもを望むなら、いまの子宮の状態では妊娠できないので、不妊治療をして急ぐべきだ。妊娠したら、体内で分泌されるプロゲステロンという女性ホルモンの働きで、がんの増殖を抑えられることが期待できる。ポテ子さんは不妊治療を選び、紹介状をもって専門のクリニックを訪ねた。子どもは結婚後しばらくしてからのつもりだったが、ママになるのが楽しみになった。まずは排卵周期に合わせて性交渉を持つタイミング法から始めたが、すぐには妊娠しなかった。子宮体がんの再発を防ぐためにも急いでと体外受精を勧められた。「まだ29歳。体外受精なら、きっとすぐに妊娠できるに違いない」。夫も賛成した。2010年7月、受精卵を一つポテ子さんの子宮に移植した。東京都に住むイラストレーター赤星ポテ子さん(37)は2010年、不妊治療を始めた。最初にかかった不妊治療クリニックでは、3回体外受精に挑戦したが妊娠しなかった。もっと自分に合った治療があるはずだとネットで調べ、木場公園クリニックに転院した。院長の産婦人科医吉田淳さん(56)はニコニコしていて、質問や相談もしやすそうだった。ただ、新たに受けた検査結果は厳しい内容だった。卵巣の働きが悪く、体内にある卵子も少ない。卵巣機能は実年齢より15-20歳上といわれた。排卵を促すホルモン剤をつかうと、かえって閉経を早めてしまう危険があるという。「もしかして、私はこのまま一生、自分の子どもを抱けないのかもしれない」。待合室で、強い不安に襲われた。ほかの患者が連れていた小さな子どもと目が合うと、涙が止まらなくなった。「残り少ない卵を思えば、落ち込んでいる暇はない」。気持ちを切り替えて、体外受精に取り組んだ。ホルモン剤の筋肉注射も、採卵で針を刺されるときも、泣けてくるほど痛かった。だが、絶対ママになるんだと必死に耐えた。「おまえが35歳になるまで、悔いのないようにがんばろう」。夫はいつも前向きで、それがときどき重荷にもなった。35歳という目標がとても遠くに感じられた。12年のゴールデンウィーク。2人で伊豆諸島の式根島に出かけた。島の子どもたちと楽しそうに遊ぶ夫を見ているうちに、「父親にしてあげたい」という気持ちが突き上げるようにわいてきた。「ギリギリまで不妊治療をがんばる。どうしてもうまくいかない時は卵子提供も考えてほしい」。治療はつらいけど、子どものいる人生をあきらめることはもっとつらい。自分の遺伝子を持っていない子でも、愛せる自信はある。「私のために、パパになって」夫はポテ子さんの思いを受け止めた。「わかった。その時は、卵子提供か養子を考えよう」たとえ治療をあきらめても、母になれる選択肢はある。この旅での会話はポテ子さんの心を軽くした。11回目の採卵に臨み体外受精に成功。13年4月、ついに男の子が生まれた。
【私のわがまま? 葛藤も�】 2年間で11回の採卵に挑んだ、東京在住のイラストレーター赤星ポテ子さん(37)は5回目の体外受精が成功し、2013年4月に男の子を産んだ。不妊治療を応援していたポテ子さん夫妻の親たちも喜んだ。500万円ほどかかった費用の大半は、親から支援を受けた。なかでもポテ子さんの父(67)は、出産の翌日に「さあ、2人目の治療はいつから?」と聞くほど、熱心だった。息子が1歳になるころ、2人目の治療を始めた。最初の不妊治療の体験を本にする話や雑誌の漫画連載などの仕事が忙しくなってきたため、自宅から通いやすい大学病院の不妊外来を選んだ。費用も抑えられそうだった。保育園がある平日は仕事に追われるが、排卵周期は待ったなし。早朝や週末に通院せざるを得ないこともあり、母に息子を頼んだ。激しく泣く声を背に聞きながら家を出るとき、思わず自分に問いかけた。「子どもが可愛い盛りに、いったい何をしているんだろう。この子は母親と一緒にいたがっているのに」息子を産んで、ママになるという願いはかなった。今度はこの子に弟か妹を産んであげたい。息子のための治療だ。それなのに心が引き裂かれるような後ろめたさだった。まだ幼い息子は「きょうだいがほしい」と言ったことは一度もない。「結局、この治療は、私のわがままなのかな」育児と仕事と不妊治療の3足のわらじ。全てが中途半端になっているようでモヤモヤした。イライラして夫婦げんかでもすれば、治療にかける意欲も下がる。なかなか成果が出ないなか、通っている病院のずさんな対応に不信感を抱き、1人目を授かった木場公園クリニックに戻ることにした。久しぶりに診察を受けた院長の吉田淳さんに、実は治療を続けるべきか悩んでいると打ち明けた。吉田さんは「一生懸命がんばって、1人目を授かったんですよね。奇跡を起こした。ただ時間もたって、卵巣の状態など条件が悪くなっているのは事実。そのことも考えてね」と言った。
【信頼している医師の言葉が心に残った。 『卒業』『中退』】
「私、不妊治療やめるわ」。つきものが落ちたように夫に告げたのは年末のこと。年が明けた今年2月にブログで報告した。赤ちゃんを授かった「卒業」ではないので、妊活の「中退」と書いた。
・不妊治療いつまで(5:情報編) 決断、夫婦で向き合って  冨岡史穂 2017.12.22
 日本産科婦人科学会によると、2015年には約5万人の赤ちゃんが体外受精で生まれ、20人に1人を上回った。だが、体外受精の妊娠率は20歳代でも約4割で、無事に赤ちゃんが生まれる確率はさらに低い。不妊治療は必ずしも成功率の高い治療とは言えない。いつまで治療を続けるべきかという悩みに、多くの人が直面する。不妊治療いつまで(1)4人家族が夢だった。『2人目どうするの?』に傷つく人も・・ 都道府県などが設置する不妊専門相談センターでは、医師や助産師らが面接や電話、メールで相談にのっている。また医療機関でも相談室を設ける、不妊の専門資格を持つ看護師を置く、子どもを授かることなく治療をやめた「先輩」に体験を聞く会を開くなど、支援に乗り出している。05年から約7年間、滋賀県の相談センターで対応にあたった日本赤十字豊田看護大学の橋村(はしむら)富子(とみこ)准教授によると、「治療が思うようにいかない」「年齢があがってきた」「子宮内膜症など合併症の悪化」「配偶者との関係」「経済的事情」などが、治療をやめようかと悩む主な理由だった。愛知県立大看護学部の三尾(みお)亜喜代(あきよ)講師は、体外受精などを試みたものの子どもを授からずに治療を終えた女性15人に面接し、決断までの心の動きを分析した。女性たちは思うように治療の結果が出ない場合、まず「治療への向き合い方を検討」し、「繰り返し治療することに疑問を抱く」「治療を続けるか葛藤する」「本当に諦めて良いのか考える」といった過程を経て、治療を終える方向に気持ちを整理していた。三尾さんは「女性が治療にかけているのはお金や時間だけではない。子どもを得るというゴールが揺らぐことは、先の人生が見えなくなるほどの深刻な悩みだ」という。夫や親が、女性の存在自体に価値があることを認め、治療のために女性が努力していることを理解していることが、治療終結を決心する支えになっていた。一方で夫らの気持ちに配慮して、やめられないと悩む場合もあった。橋村さんも三尾さんも、夫婦が率直に話し合う重要性を強調する。橋村さんは「不妊治療を始めるのもやめるのも夫婦生活の延長上にある。苦しい決断だからこそ、二人で向き合ってほしい」と話す。・不妊治療いつまで(4) 『卒業』ではなく『中退』  冨岡史穂 2017.12.21
 体外受精を経て2013年に男の子を出産した。東京都在住住のイラストレーター赤星ポテ子さん(37)は、約1年後に2人目の不妊治療を始めた。だが、このまま続けていいものか悩んでいた。 
 不妊治療いつまで(1)4人家族が夢だった。
 昨春、父(67)が緊急入院した。1人目でかかった治療費約500万円の多くは、ポテ子さん夫妻の親たちの支援だった。これ以上迷惑はかけられない。不妊治療をやめると言うと、父は今後も援助すると言い張った。「なぜそんなに2人目をつくってほしいの?」。泣きながら聞くポテ子さんに父は答えた。「子の夢をかなえてあげたいのが親心だ」はたと我が身を振り返った。もしこのまま治療を続けたら、息子がいつか夢を語り出すころに、「なんでもやらせてあげる」と胸を張れる資金は残せるだろうか。治療は難航していた。もともと不十分だった卵巣機能はさらに落ち、採卵がうまくいかない。体外受精を試みることすらできずに落ち込んだ。ホルモン値の悪さを示す検査結果が「女の成績表」にみえた。でもまだ30代。1人授かった実績もある。かすかな望みを捨てられない自分がいる。ギャンブル依存症みたいだと思った。その夏の夜、夫(40)が『不妊治療をやめたい』と言い出した。ポテ子さんの36歳の誕生日を過ぎたら「どんなに泣かれても、もうクリニックには行かない」とにべもない。2日間泣いて過ごした。自らのブログに「不妊治療終了まで3カ月」と書いたが、決心がついたわけではなかった。秋には新しい治療法にかけたい気持ちを抑えられず、再度の転院を夫に訴えると、「わかった。自分で決めていいよ」と言ってくれた。「私、不妊治療やめるわ」。つきものが落ちたように夫に告げたのは年末のこと。年が明けた今年2月にブログで報告した。赤ちゃんを授かった「卒業」ではないので、妊活の「中退」と書いた。治療をやめ、息子と向き合える時間が増えた。ただ今も、周りで妊娠のニュースを聞くと心がざわつく。母子手帳という卒業証書への未練はずっと抱えていくのだと思う。でも後悔はない。今ポテ子さんは2人目治療にかけた200万円を取り戻そうと仕事に励んでいる。
★2017.10.5
■高度不妊治療2015年集計
 体外受精などの高度不妊治療の結果について、2015年の集計結果が日本産科婦人科学会より報告された。報告によると2015年に行われた高度不妊治療(体外受精顕微授精など)の治療総周期数は、約42万4千周期と前年度より約3万周期増加した。そのうち、新鮮胚を用いた治療の採卵回数は約24万9千周期と前年より1万3500周期増加、凍結受精卵(未受精卵も含む)を用いた治療数は約17万5千周期と昨年より1万8千周期増加した。生まれた赤ちゃんは51,001人に達し、2015年に生まれたすべての赤ちゃんの約19.7人に1人に該当する。 なお、この割合は、2008年で50人に対して1人、2010年で37人に対して1人、2013年で24人に対して1人、2014年で21人に対して1人と年々増加している。国内で高度不妊治療を行っている施設数は、574施設であり、妊娠報告は体外受精(実施施設数552)で393施設(71.2%)、分娩に至った施設は357(64.7%)であった。同様に顕微授精(実施施設数489)の妊娠報告は365施設(74.6%)、分娩に至った施設は343(70.1%)、凍結融解胚移植(実施施設数550)の妊娠報告はは518施設(94.2%)、分娩に至った施設は499(90.7%)であった。 ここ数年の実施施設および報告成績数は一定してるものの、5施設のうち1施設以上は妊娠報告すらない現状に、治療施設の選択には慎重になって頂きたいと感じる。

★2017.7.5
■事実婚夫婦にも不妊治療助成の拡大検討 厚労省会議 朝日新聞より
  公的医療保険が適用されない体外受精などの不妊治療の助成について、厚労省は5日、有識者会議を開き、事実婚の夫婦への適用拡大を議論した。厚労省は意見を踏まえ、助成の拡大を検討する。厚労省によると、体外受精や手術での精子採取などの特定不妊治療は現在、公的医療保険の対象外となっている。 国と自治体が初回治療で最大30万円、2回目以降は15万円までを助成しているが、対象は法律上婚姻をしている夫婦に限られている。 2015年度は約16万件の利用があり、年々増えている。この日の会合では、産婦人科医や法学者などが参加し、議論した。「家族のあり方が多様化し、少子化が進む中助成拡大は必要だ」などと賛成意見が大勢を占めた。「生まれてくる子どもが父との親子関係を成立させるには父の認知が必要。認知を確保する方法を考えるべきだ」などの意見も出た。

★2017.3.25
■生殖医療のルール(日本の宿題) 朝日新聞より
 代理出産や卵子提供。不妊カップルが子どもを得る手段は、技術の進歩やグローバル化とともに広がっています。一方で新たな形の親子関係に法律が追いつかず、ひずみも生まれています。生まれる子どもの権利を守るために、どんなルールが必要なのでしょう。
・多様化する家族 対応急げ 埼玉医科大・石原理さん
 今の日本では、約21人に1人が生殖補助医療によって生まれています。国内で初めて人工授精で子どもが生まれたのは1949年。1983年からは体外受精が行われ、日本で生殖医療で生まれた子どもは延べ40万人を超え、もはや特別な存在ではありません。最近では、性的少数者(LGBTなど)の存在も見逃せません。同性愛のカップルが子どもを持とうとすれば、精子や卵子の提供、代理出産など第三者のかかわる生殖医療の助けが必要になります。その分、将来、親子関係のトラブルが起きる可能性も増しています。たとえば、そうして生まれた子どもの親は精子や卵子の提供者なのか、それとも依頼者なのか。母親は代理で産んだ女性なのか、卵子の提供者なのか、依頼者なのか。業界団体である日本産科婦人科学会は代理出産の禁止など、生殖医療をめぐるガイドラインは示していますが、親子関係の規定はありません。民法には、生まれた子どもの父親は、身ごもった女性の夫と推定するという「嫡出(ちゃくしゅつ)推定」が盛り込まれています。でも、法律ができた明治時代に、精子や卵子の提供、代理出産、さらにLGBTの存在について想定されておらず、21世紀の多様化した家族には対応できません。第三者が関わる生殖医療で生まれた子どもの親を法律で定める必要があるでしょう。2000年前後に、法整備の機運が高まった時期がありました。長野県のクリニックで姉妹間での卵子提供による出産や、タレントの向井亜紀さん夫妻が代理出産で子どもを授かったことなどが明らかになったころです。2003年に、厚生労働省の審議会が生殖医療のルールに関する報告書をまとめ、法務省の法制審議会も「血縁上のつながりはなくても、産んだ女性が母親」「夫で生殖補助医療に同意した人が父親」とする試案を出しましたが、法制化には至りませんでした。生殖医療について訴えても選挙での票にはつながりにくいため、政治家の動きが鈍い。また、内容が複雑で、関係者が見えづらい。 さらに、不妊治療にかかわる時期が限られるため、当事者が入れ替わってしまうことも無関係ではないでしょう。ただ、この間に訴訟も起きています。女から男に性別変更した男性が、結婚した妻に、第三者の精子を人工授精して生まれた子どもについて「親子」と認めるよう裁判所に求めたのです。最高裁は2013年、血縁より家族の実態を重んじて法的に父と子であると認めました。このときも、親子関係を定めた法律の必要性が指摘されましたが、たなざらしのままです。このほか、生殖医療で生まれた子どもに遺伝上の親を知る権利を認めるのか、という課題も浮き彫りになっています。たとえば、レズビアンのカップルであれば、生まれながらの男女による婚姻関係にないため、日本では精子の提供を受けることができず、闇のマーケットか海外で提供を受けて出産することになります。その場合、子どもが成長してから「父親はだれか」と知ろうとしたとき、精子提供者の情報を伝えるのか、伝えないのか。そもそも、提供者の身元がわからないケースも多いと思います。最近では、精子提供を受ける独身女性もいるだけに、子どもが「出自を知る権利」についてのルールづくりが急務です。LGBTも含めて家族のかたちが多様化しているだけに、親子のトラブルを防ぐための法律が必要です。そのとき、個人的な家族観や倫理観から離れ、「生まれてくる子どもの福祉」の観点から結論を出せるかがカギだと思います。(聞き手・諸永裕司)
・生まれる子ども 守る法を 日比野由利さん(金沢大助教)
 グローバル化の影響で、自国で禁止されていても、海外で代理出産や卵子提供などの生殖補助医療を受ける人が増えています。代理出産についていえば2010年代以降、タイやインドなど、日本に近く、より安く利用できる国に大きな市場が生まれました。国内外で「人身売買だ」との批判の声が高まり、両国とも外国人への代理出産を禁止すると、市場はネパールやカンボジアに移りました。その後、同じ理由でこれらの国が禁止すると、今度はラオスやミャンマーに。「批判が出て禁止、それならば周辺国へ」というサイクルが、短くなっている気がします。基本的には貧しく、法律が整っていない国への移動です。日本からどれぐらいの人が行っているのか、正式な統計はありませんが、卵子提供を受けた可能性がある超高齢出産の女性の出産数は年々増えています。代理出産の依頼者数も、増加傾向にあると思います。 理由として、日本人男性が代理出産で16人の子どもを得た事件などをきっかけに情報が広がったこと、性的少数者が利用する例が増えていることなどが考えられます。 昨年には、当事者らによる「ゲイのための代理出産と卵子提供セミナー」も開かれました。日本には代理出産や卵子提供を禁止する法律はなく、日本産科婦人科学会が指針を設けているだけです。では、法律ができれば海外へ行く人が減るのか。たとえば豪州は商業的代理出産を禁止し、海外で受けることも処罰の対象としていますが、実際に処罰された例はありません。トルコも禁止していますが、多くの人が海外で利用しています。法律をつくっても、機能していないのが実情です。自民党のプロジェクトチームが法案をまとめていますが、なかなか国会に提出されないのは、優先順位が低いからでしょう。過去にも、学会の指針を破り代理出産を行った医師や、向井亜紀さんの事例が報道されると「法の整備を」という声が上がりました。でも被害者がいないから、議論は止まってしまう。その繰り返しです。ただ、国としての基本的な姿勢は示すべきではないでしょうか。生殖の細かいあり方にまで国が介入することには抵抗感を覚えますが、生まれた子どもを守るためにも、親子関係をめぐる民法の改正は必要だと思います。たとえば独身女性やレズビアンのカップルが無償で精子を提供するインターネット上の業者を利用した場合、将来的に子どもの親権をめぐるトラブルが起きる可能性があります。また、子どもの出自を知る権利も法律で認められるべきです。個人的には、自らの欲望を満たすために人の体を利用する代理出産には問題が多いと思います。代理母となるのは経済的な弱者が多く、先進国でも開発途上国でも、これは一緒です。ただ、卵子や精子の提供は体への負担があるとはいえ、子どもを持ちたい人のニーズに応えるため、不妊治療で余っている受精卵の提供も含め、認めてもいいのではないでしょうか。自民党の法案では、「産んだ人が母」という従来の原則から、依頼人ではなく代理母を母としています。しかし最近法制化した国では、依頼人を母とする例も増えています。その方が、親子関係はすっきりします。また、これからは父親が2人、母親が2人といった家族も出てくるでしょう。「代理母をしたら終わり」ではなく、産んだ女性も家族の一員として認めるという考え方だってあるはずです。  どこまで多様な家族像を認めるのか。生殖医療の法律をつくるということは、国の家族観が問われることかもしれません。(聞き手・岡崎明子)


■匿名第三者の卵子で初の出産 神戸のNPOが仲介 朝日新聞より

 自分の卵子で妊娠できない女性に、匿名の第三者からの無償での卵子提供を仲介するNPO法人「OD-NET」(神戸市)は22日、提供卵子を使った体外受精で女児1人が国内で初めて誕生したと発表した。卵子提供で生まれた子どもの法的な位置付けは明確ではなく、関係者は法整備の必要性を訴える。子どもの「出自を知る権利」の確保も課題となる。出産したのは、若いころに月経がなくなる「早発閉経」の40代の女性。2015年に提携する医療機関で提供者から23個の卵子を採取し、夫の精子と体外受精させ、成長した11個を凍結。提供者に感染症などがないことを確認した上で、妻の子宮に1個を移植した。1度目は流産したが、2度目の16年4月に妊娠し、今年1月に女児を出産した。母子ともに健康だという。NPOでは、35歳未満で、子どもがいることなどを条件に提供者を募集しており、居住地や年齢、血液型などを考慮して夫婦との組み合わせを決めた。互いの情報は知らないという。体外受精の費用は夫婦側の負担で、計100万円ほどかかった。子どもには、3~5歳ごろから卵子提供の事実を伝え、15歳以上で本人が希望すれば、提供者の氏名や連絡先などの情報が医療機関から渡されることに夫婦は同意したという。提供者との面会を希望した場合には提携する医療機関で調整する。こうした条件には提供者も同意しているが、強制力はなく、最終的には当事者の判断に委ねられる。NPOによると、他にも提供卵子を使った受精卵で2人が妊娠中のほか、1人が流産した。他にも3組の組み合わせが成立しており、順次カウンセリングや体外受精を進める予定という。現行の民法では「生みの親」が母親とみなされるが、卵子提供による子どもの誕生は想定していない。厚生労働省の有識者会議は2003年、匿名の第三者からの無償での卵子提供を認める報告書をまとめたが、法整備は進んでいない。自民党の合同部会は2016年、卵子提供を受けた場合でも「産んだ人が母」とする法案を了承したが、提出の見通しは立っていない。 日本産科婦人科学会は指針で体外受精は事実婚を含む夫婦に限っており、第三者からの卵子提供について「国の法整備を待つべきだ」との方針を示している。日産婦の苛原稔・倫理委員長は「現実に卵子提供で子どもが生まれている。現場に混乱がないように法整備を急いで欲しい」と話した。NPOの岸本佐智子理事長も「生まれてくる子どもたちの生活や福祉が守られるためにも法制化が必要。悩んでいる夫婦の声に耳を傾けて欲しい」と訴えた。国内の一部の施設では、姉妹間などでの卵子提供が実施される一方、海外で卵子提供を受ける人もいる。 生殖医療に詳しい日比野由利・金沢大助教(社会学)は「英国では卵子提供者の情報を公的機関が管理するなど、子どもの『出自を知る権利』に配慮がなされている。日本の現状では、親が子どもに提供の事実を伝えなければ、子どもは知ることさえできない。卵子提供を受ける親は、生まれてくる子どもを独立した人格と認め、提供を受けたことを子どもにきちんと伝えることが望ましい」と話す。

★2016.9.14
■高度不妊治療2014年集計
 体外受精などの高度不妊治療の結果について、2014年の集計結果が日本産科婦人科学会より報告された。報告によると2014年に行われた高度不妊治療(体外受精顕微授精など)の新鮮胚を用いた治療の採卵回数は約23万6千周期と前年より2万周期増加、凍結受精卵(未受精卵も含む)を用いた治療数は約15万7千周期と昨年より1万6千周期増加した。生まれた赤ちゃんは47,322人に達し、2014年に生まれたすべての赤ちゃんの約21人に1人に該当する。なお、この割合は、2008年で50人に対して1人、2010年で37人に対して1人、2011年で32人に対して1人、2013年で24人に対して1人と年々増加している。国内で高度不妊治療を行っている施設数は、574施設であり、妊娠報告は体外受精(実施施設数549)で420施設(76.5%)、分娩に至った施設は397(72.3%)であった。同様に顕微授精(実施施設数485)の妊娠報告は373施設(76.9%)、分娩に至った施設は346(71.3%)、凍結融解胚移植(実施施設数546)の妊娠報告はは501施設(91.8%)、分娩に至った施設は486(89.0%)であった。ここ数年の実施施設および報告成績数は一定してるものの、5施設の内1施設は妊娠報告すらない現状に、治療施設の選択には慎重になって頂きたいと感じる。

★2016.6.30
■淡路市特定不妊治療費助成内容が一部変わりました
 淡路市に住所を有し、4/1以降に兵庫県に助成を申請したをご夫婦を対象に淡路市が、県の助成額を控除した額について治療1回につき上限10万円まで助成することになりました。 県の助成が決定した日から起算して90日以内など、幾つかの条件や提出書類がありますので、必ず淡路市健康増進課にお問い合わせ下さい(0799-64-2541) 淡路市からの案内
■淡路市不育症治療費助成について 
 淡路市市に住所を有し、治療を行った当該年度の4/1から3/31までに要した治療費用を助成することになりました。夫婦合算所得額制限など、幾つかの条件や提出書類がありますので、必ず淡路市健康増進課にお問い合わせ下さい(0799-64-254
■洲本市特定不妊治療費助成内容が一部変わりました
 洲本市に住所を有し、4/1以降に兵庫県に助成を申請したをご夫婦を対象に洲本市が、県の助成額を控除した額について治療1回につき上限10万円まで助成することになりました。 県の助成が決定した日から起算して90日以内など、幾つかの条件や提出書類がありますので、必ず洲本市健康増進課にお問い合わせ下さい(0799-22-3337) 洲本市からの案内
■洲本市不育症治療費助成について
 洲本市に住所を有し、治療を行った当該年度の4/1から3/31までに要した治療費用を助成することになりました。夫婦合算所得額制限など、幾つかの条件や提出書類がありますので、必ず洲本市健康増進課にお問い合わせ下さい(0799-22-3337) 洲本市からの案内

★2016.3.25
■不妊治療保険 4月解禁一金融庁発表
 時事通信によると金融庁は3月25日、不妊治療の費用を補償する保険商品を4月1日に解禁すると正式に発表した。不妊治療の多くは健康保険の適用外で、費用が高額になるケースも多い。今回の解禁は、生命保険会社に不妊治療保険の引き受けを促し、出生率の向上を目指す狙いがある。具体的な商品設計は生保各社が今後検討する。

★2016.2.1
■特定不妊治療助成制度に一部変更があります
 厚生労働省は、本年1月20日以降に治療を終え、2月1日以降申請する場合、不妊治療に対する助成制度を初回治療に限って上限額15万円を30万円に倍増する。さらに、重症男性不妊で夫から精子を採取する手術にも新たに15万円を上限に助成する見込みであるが詳細は各役所等に確認を。助成対象は、体外受精を受ける世帯所得730万円未満の世帯。安倍政権の1億総活躍社会に向けた緊急対策に、少子化対策の一環として盛り込まれていた。現在、不妊治療助成の上限額は1回につき原則15万円で、6回まで受けられる。今回、最も需要の多い1回目のみ30万円に引き上げ、新たに夫の手術に対する助成を従来の助成に上乗、最大6回まで受けられる。夫の年齢制限は設けない。厚労省は2015年度補正予算案と2016年度予算案に計約165億円を計上している。不妊治療は基本的に公的医療保険の対象外で、体外受精と男性に対する精子採取の手術の費用は一般的に1回につき、それぞれ30万円程度とされる。不妊治療に対する助成制度の利用件数は、2004年度は延べ1万7657件だったが、2013年度は14万8659件にまで増えている。不妊治療の助成制度 少子化対策の観点から、不妊治療を受ける夫婦の経済的負担を軽減するために2004年度にスタート。当初は10回まで助成を受けられ、年齢制限もなかった。しかし、不妊治療で出産した人の9割が治療6回目までに妊娠・出産していることを踏まえ、2014年度に6回(40歳以上は3回)に減らした。一方で、年間の回数制限は撤廃した。また、年齢が高くなると妊娠・出産に伴うリスクが大きくなることなどから、2016年度から年齢に「42歳まで」の制限を設けることが決まっている。

★201511.11
■高度不妊治療2013年集計
 11/11の日本経済新聞より  厚生労働省は、男性不妊に治療に対しての助成金を検討する見込み。不妊原因の4割は男性不妊であり、精液中にも精子が認められない場合、精巣内の精子で顕微授精する必要がある。この泌尿器学的手術には数十万円が自費でかかり、大きな経済的負担となっている。この費用の一部を国が負担しようという試みです。

★2015.9.15
■高度不妊治療2013年集計
 体外受精などの高度不妊治療の結果について、2013年の集計結果が日本産科婦人科学会より報告された。報告によると2013年に行われた高度不妊治療(体外受精顕微授精など)の新鮮胚を用いた治療の採卵回数は約22万回と前年より2万回増加、凍結受精卵(未受精卵も含む)を用いた治療数は約14万回と昨年より2万回増加した。
生まれた赤ちゃんは約42,000人に達し、2013年に生まれたすべての赤ちゃんの約24人に1人に該当する。なお、この割合は、2008年で50人に対して1人、2010年で37人に対して1人、2011年で32人に対して1人、2012年で27人に対して1人と年々増加している。国内で高度不妊治療を行っている施設数は、557施設であり、妊娠報告は体外受精(実施施設数544)で426施設(78.3%)、分娩に至った施設は395(72.6%)であった。同様に顕微授精(実施施設数470)の妊娠報告は369施設(78.5%)、分娩に至った施設は338(71.9%)、凍結融解胚移植(実施施設数526)の妊娠報告はは428施設(91.6%)、分娩に至った施設は460(87.5%)であった。ここ数年の実施施設および報告成績数は一定してるものの、5施設の内1施設は妊娠報告すらない現状に、治療施設の選択には慎重になって頂きたいと感じる。

★2015.3
■2015年4月より兵庫県の特定不妊治療費助制度が変わります
 2015.3.10現在兵庫県のホームページへ上がっておりませんが、やや年収の低い世帯に対する助成金の上乗せがあるようです。朝日新聞からの抜粋です。『兵庫県は4月から、医療保険が適応されない「特定不妊治療」の治療助成制度を拡充し、年間所得が400万円未満の夫婦への助成額を治療1回あたり5万円引き上げる。県ではなく市で助成制度を設ける中核市以上の4市(神戸、姫路、西宮、尼崎)は対象外。また不妊相談の窓口も拡充し、男性不妊専門の面接相談も始める。県健康増進課によると、特定不妊治療には卵子を体外にとりだして精子を混ぜて受精させる「体外受精」と、卵子に針を刺して精子を注入する「顕微授精」がある。現在は年間所得が730万円未満の夫婦に、国と県が治療1回あたり最大計15万円を助成する制度がある。しかし、実際の治療費は体外受精が治療1回あたり約30万円、顕微授精が約40万円。無精子症など男性の不妊治療が必要な夫婦は約50万~60万円とさらに高額になる。不足分を補おうと、豊岡市や三木市など県内20市町では独自に追加助成してきた。そこで県は、卵子を採取し、受精卵を子宮に戻すまでの特定不妊治療を受けた夫婦への助成額を5万円加算し、最大20万円にする。回数制限は設けない。県の担当者は「比較的所得が低い若い世代からでも早く不妊治療を受けられるようにしたい」と話す。 不妊の専門相談窓口は現在、助産師や産科医による電話・面接相談があるが、女性からの相談ばかりだった。4月からは泌尿器科医による男性不妊専門の面談窓口も開設する。』

★2014.10.6
■子宮移植による世界初の出産
 スウェーデンイエーテボリ大学医療チームは、子宮移植による世界で初めての出産を報告した。このスウェーデン人女性は、卵巣は有しているが先天的に子宮がなく、60歳前半の知人女性より子宮の提供を受け、体外受精による夫婦の受精卵の移植により男児を出産した。 

★2014.9.10
■高度不妊治療2012年集計 2014.09.10
 体外受精などの高度不妊治療の結果について、2012年の集計結果が日本産科婦人科学会より報告された。報告によると2012年に行われた高度不妊治療(体外受精顕微授精など)の新鮮胚を用いた治療の採卵回数は約20万回と前年より3万回増加、凍結受精卵(未受精卵も含む)を用いた治療数は約12万回と昨年より2万5千回近く増加した。生まれた赤ちゃんは約38,000人に達し、2012年に生まれたすべての赤ちゃんの約27人に1人に該当する。なお、この割合は、2008年で50人に対して1人、2009年で40人に対して1人、2010年で37人に対して1人、2011年で32人に対して1人と年々増加している。なお、内での累積は34万人以上となった。国内で高度不妊治療を行っている施設数は、前年とほぼ同数の約580施設であり、妊娠報告は体外受精(実施施設数538)で437施設(81.2%)、分娩に至った施設は399(74.2%)であった。同様に顕微授精(実施施設数460)の妊娠報告は374施設(81.3%)、分娩に至った施設は350(76.1%)、凍結融解胚移植(実施施設数517)の妊娠報告はは476施設(92.1%)、分娩に至った施設は453(87.6%)であった。ここ数年の実施施設および報告成績数は一定してるものの、5施設の内1施設は妊娠報告すらない現状に、治療施設の選択には慎重になって頂きたいと感じる。